★何歳からでも食生活改善の意味があるのか?

結論ですが、食生活を改善することは何歳からでも大きな効果があります。理由は2つです。

1つ目に加齢現象は常に起きていることであり、私たちは“今この瞬間が一番若いからです。人生100年時代と言われています。70歳の人もまだ30年も過ごすのです。「自分はその前に最期を迎えるからいいや」と考える人もいるかもしれませんが、そんな簡単にはいきません。病気になってから後悔している人をたくさん診てきました。寝たきりの老後や、認知症になった老後を迎えるかどうかは今日からの食生活が大きく影響します。

図1 ビタミン・ミネラルの役割

2つ目に食生活の改善は老化防止と合わせて“免疫力アップが期待”できます。老化防止の酵素と同じように、免疫を調整する物質(サイトカイン)にもビタミン・ミネラルが関わっています。図1に五大栄養素の役割を載せます。適切なタンパク質に加えて、大切なビタミン・ミネラルを摂ることによって免疫力が高まります。

例えば新型コロナウイルスですが、重症化した人の血液を調べてみると、いくつかの身体に必須な栄養素が年齢問わず不足していたことが世界中で報告されています。新型コロナウイルスだけではありません。インフルエンザウイルスに対しても、同じように適切な栄養素を摂ることで感染リスクを下げたりできることが複数の医学研究からわかっています。

若者、高齢者、男性、女性、、、どの年齢と性別でみても、感染症で重症化する人としない人とで差が生まれるのは個々の免疫力が大きく影響しているからです。

2009年頃に新型インフルエンザが騒がれました。コロナウイルス、インフルエンザウイルス、他にもウイルスと呼ばれるものは膨大にあり、今後も新たに出現しては常に変異し続けます。ワクチンでの予防も大切ですが、変異するウイルスに対して毎回いろいろなワクチンを打つよりも、変異したウイルスに負けない身体作りをするほうが効果的と思いませんか?当然のことですが、ウイルス以外にも細菌感染などがあり、同じように免疫力が重要です。

病気になってしまった人は正しく薬を服用する必要があります。しかし最近の医学会の中では、薬だけでなく食生活の改善が特に重要な要素として考えられています。それは何歳でも、どんな状態でも同じです。すべての薬は身体の機能を補う補助にすぎません栄養状態が悪い人の治療が難しいことを医療者はよくわかっています。