糖質制限のメリット・デメリット
糖質制限は現代の健康志向者にとって特に人気のある食事療法ですが、その影響は人によって大きく異なるため、全体像を理解することが重要です。医学的意味を考えずに糖質制限を行うと最悪の場合は命に関わります。糖質制限が体重管理や健康へもたらす可能性のあるメリットとデメリットを医学的視点から考えてみましょう。何も知らずにやることは、走ったこともない人がいきなりフルマラソンをするようなものです。
メリット
- 体重管理: 糖質制限は、体重減少を支援する可能性があります。これは主に合成ホルモンであるインスリンレベルの低下と、体がエネルギー源として脂肪を使うようになるケトーシス状態によるものです。
- 血糖値の管理: 糖質制限は、特に2型糖尿病の人々にとって血糖値の管理に役立つ可能性があります。糖質を摂取すると血糖値が上昇し、それに応じてインスリンが分泌されます。糖質の摂取を抑えることで血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの適切な管理を支援することができます。
- 心臓病リスクの低減: いくつかの研究では、糖質制限が悪玉コレステロールレベルを低下させ、善玉コレステロールレベルを向上させる可能性があることが示されています。
- 栄養素の摂取:糖質の代わりにタンパク質、脂質を摂るためビタミン、ミネラルの栄養不足になりにくいというメリットがあります。
デメリット
- 低血糖症: 慣れずにいきなり糖質制限をすると低血糖症により命の危険性があります。
- 耐糖能異常: 糖質の適度な制限は血糖を改善しますが、過度な制限は逆に耐糖能異常を起こします。これは血糖の刺激がなくなった膵臓が萎縮し、インスリンを生み出す細胞が退化するためです。
- 筋肉量低下: 血糖が下がると筋肉のタンパク質を分解(糖新生と呼ぶ)して血糖を上げようとします。糖質制限をやりすぎることにより筋肉量減少、基礎代謝減少により逆に太りやすくなります。
- 精神的肉体的ストレス: 糖質は私たちの主要なエネルギー源であり、制限することで運動能力や一日の活動のエネルギーレベルが低下する可能性があります。普段糖質でエネルギーを得ている人がいきなり糖質制限をすると身体がエネルギー不足になり強い倦怠感が出ます。また糖質は依存性があることから、いきなり制限することで離脱症状が出ます。
- 費用:エネルギーでみたときに糖質は安価ですが、タンパク質、良好な脂質は高価のため費用がかかります。
糖質制限のメリットとデメリットを理解した上で、それが自分自身の健康とライフスタイルに適しているかどうかを判断することが重要です。また、PFCバランスでいうところの糖質10%、20%、30%では体に与える影響がそれぞれ大きく違います。また1日のトータル量だけでなく糖質の摂り方(1食か3食か等)によっても大きく変わります。
一部の人々にとっては、糖質制限は体重減少や血糖値管理に有用なツールとなるかもしれませんが、他の人々にとってはそれが持つ可能性のあるリスクが大きすぎるかもしれません。健康や食事に関する重要な決定をする前に、医療専門家と相談することを強くお勧めします。
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