腸内環境の大切さ

 食生活改善するときに、まず意識してほしいことは腸内環境についてです。腸内環境の改善効果は、ただ便通がよくなるだけではありません。

老化防止、美容、ストレス改善、認知症予防、睡眠向上、がん予防、免疫力改善など次から次に腸内環境改善による効果が世界中で研究され科学的にわかってきています。いくつかの実際の医学論文を次に載せます。肥満の方の腸内環境が悪かったり、コロナの重症化と腸内環境との関係も指摘されています。

腸内環境は、免疫系や代謝、神経系、そして精神的な健康に影響を与えることを示唆。

THE INTESTINAL MICROBIOME IN HUMAN HEALTH AND DISEASE.
Dupont HL, et al. Trans Am Clin Climatol Assoc. 2020. PMID: 32675857 Free PMC article.

プロバイオティクスの摂取によって、認知機能の改善や炎症の緩和が見られたことが示されて、腸内環境の改善が認知症の予防や治療に役立つ可能性があることを示唆。

Effect of Probiotic Supplementation on Cognitive Function and Metabolic Status in Alzheimer’s Disease: A Randomized, Double-Blind and Controlled Trial.
Akbari E, et al. Front Aging Neurosci. 2016. PMID: 27891089 Free PMC article.

腸内細菌と肥満との関連の調査。腸内細菌叢の多様性が低下することが肥満と関連していることを示唆。

The gut microbiota and obesity: from correlation to causality:Zhao L. Nat Rev Microbiol. 2013. PMID: 23912213 Review.

実際はこれらの内容を細かく理解する意味はありません。それより”腸内環境が大切”ということを理解して、改善に向かって行動することが大切です。最新の勉強をしている医師で、腸内環境なんて意味ないという人は一人もいません。それくらい重要です。

脳内の幸福ホルモンといわれるセロトニンの80%という量が腸内細菌によって作られます。それ以外にも腸内細菌によって合成されるビタミンも多くあります。腸内環境をよくすることで、うつ病が改善したり、メンタルが強くなったりというのは科学的根拠のあることです。

一時、某乳酸菌飲料で睡眠の質が改善ということで話題になったことを知っていますか?なぜ乳酸菌飲料で睡眠の質が変わるのか。腸内環境が脳の活動に影響していることから考えれば十分に納得のいくことではないでしょうか。